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第26回いぶき賞の受賞講演など 滋臨技学会

約130人が参加した県学会

 第46回滋賀県医学検査学会が2月25日開かれ、優秀論文に与えられる第26回いぶき賞には「Aerococcus urinaeによる尿路感染症に化膿性膝関節炎と血液培養陰性心内膜炎を合併した一例」が選ばれた。受賞者は大津赤十字病院検査部の遠藤昭大氏で、日本臨床微生物学会雑誌2023:第33巻第2号に掲載された。学会当日は遠藤氏が病欠のため、共同著者の髙橋春菜氏(同病院検査部)が代理で報告した。


 受賞論文は、Aerococcus urinae (A.urinae)による尿路感染症に左化膿性膝関節炎、血液培養陰性の感染性心内膜炎(IE)を起こした80歳代の男性症例。グラム陽性球菌であるA.urinaeは尿路感染症の原因だけでなく、まれにIEなどの重篤な感染症を引き起こすことが知られている。同症例では尿や関節液からA.urinaeが検出され、抗菌薬投与も行われていたがデータの改善が乏しく、血液培養は陰性であったが経胸壁心臓超音波検査にてIEと診断され、薬剤を変更して十分量・期間の抗菌薬治療によって軽快に至ったと報告された。


 論文では、A.urinaeの細菌学的特徴として、グラム染色ではブドウ球菌様の形態を示すが血液寒天培地上でのコロニー外観はα連鎖球菌様の形態を示すことや、染色像やコロニー外観からStaphylococcus属やEnterococcus属、緑色連鎖球菌などに間違えられる可能性があることを解説。同定キットや自動同定機器を用いた場合、同定が困難なケースがあり、Streptococcus acidominimusやGranulicatella属、Gemella属と誤同定されることに注意が必要なことを示した。


A.urinae同定時、感染性心内膜炎も考慮


 臨床的特徴としては、一般的に尿路感染症や単純性膀胱炎に関係し、ある報告では尿路感染症の約0.15~0.8%を占めることや、65歳を上回る男性高齢者に多いことにも言及。その上で、培養からA.urinaeが同定された場合はIEの可能性も視野に、検査技師から臨床医に情報を提示することの重要性を挙げている。

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