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敗血症診療でグラム染色の利用推奨 診療GL改訂版

 日本集中治療医学会と日本救急医学会の合同特別委員会はこのほど、「日本版敗血症診療ガイドライン」の改訂版の案をまとめた。案は、経験的抗菌薬を選択する上でグラム染色検査の利用を推奨していることなどがポイント。12月上旬まで募集したパブリックコメントの指摘を踏まえて正式版にまとめ、来年9月に発刊する予定。


 現行のGL(2020年版)は118のクリニカルクエスチョン(CQ)を収録しているが、改訂版(2024年版)は一般臨床の場で多職種により活用してもらえるよう簡素化を図り、CQを80程度に絞って推奨文を掲載した。グラム染色検査についてのCQを新たに設け、「敗血症に対して経験的抗菌薬を選択する上でグラム染色検査を利用することを弱く推奨する」と書き込んだ。


 グラム染色検査の推奨は、国内で行われた1つのランダム化比較試験(RCT、2022年)と3つの観察研究の結果に基づく。このうちRCTでは、国内12の集中治療室の人工呼吸器関連肺炎患者206例を対象に検討したところ、グラム染色検査の利用により28日死亡が1000人当たり39人減少し、統計学的な有意差はなかったものの減少傾向を認めた。抗MRSA薬や抗緑膿菌薬の1000人当たり使用も減少した。また、3つの観察研究でも死亡率は改善傾向だった。


 抗菌薬関連のCQを担当した班長の順天堂大学医学部附属浦安病院の近藤豊氏(救急診療科)は11月29日、日本救急医学会総会・学術集会のパネルディスカッションで新規CQを報告し、グラム染色検査の利用について「細菌の形態学的特徴によって分類する知識と、抗菌薬の抗菌スペクトラムに関する知識を持ったスタッフが必要」と説明。このため「実行可能性は病院によって異なる」と留意点を述べた。




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