感染症診断は転換期迎えた 富山大の森永氏 遺伝子検査の重要性増す富山大 森永氏 富山大学学術研究部医学系の森永芳智教授(微生物学講座)は7月26日、東京都内で開かれた日本臨床検査専門医会のセミナーで、新型コロナウイルス感染症が臨床検査に与えた影響について講演した。急速に核酸検査体制が整ったことにより遺伝子検査の重要性が増しているとの認識を示した。その上で、遺伝子検査では無症状でもウイルスが検出されるなど、従来の培養法とは異なる臨床的解釈が求められることを説明。感染症診断が転換期を迎えているとの考えを示した。 森永氏は、細菌感染の原則を提唱したドイツの細菌学者コッホにちなみ、「ポストコッホの時代の到来」と述べた。コッホは「ある病気で特定の微生物が見いだされる」「その微生物を体内から分離できる」などの原則を発表し、この考え方に基づき感染症診断には主に培養検査が使われている。遺伝子検査では培養しなくても微生物が見つかり、感染症診断に新たな解釈が必要になるとの認識を示した。その上で、感染微生物の「病原性」や「検体情報」と共に、ウイルスや菌が多いか少ないかの「定量的情報」が重要になると指摘した。●「検査知識の差」埋める努力を 森永氏はまた、コロナ禍では流行の経過とともに政府の感染対策が変わり、検査の目的も「早期発見・封じ込め」から「スクリーニング・クラスター対策」「外来の迅速診断・POCT」へと変化してきたことを説明。また、高度医療機関では精度が高い遺伝子検査が必要な一方、プライマリケアや薬局では手軽で比較的安価な抗原検査キットが使われるとし、政府の感染対策や医療機関の診療機能によって、使用する検査の種類が異なることを再認識しておくべきだと述べた。
富山大 森永氏 富山大学学術研究部医学系の森永芳智教授(微生物学講座)は7月26日、東京都内で開かれた日本臨床検査専門医会のセミナーで、新型コロナウイルス感染症が臨床検査に与えた影響について講演した。急速に核酸検査体制が整ったことにより遺伝子検査の重要性が増しているとの認識を示した。その上で、遺伝子検査では無症状でもウイルスが検出されるなど、従来の培養法とは異なる臨床的解釈が求められることを説明。感染症診断が転換期を迎えているとの考えを示した。 森永氏は、細菌感染の原則を提唱したドイツの細菌学者コッホにちなみ、「ポストコッホの時代の到来」と述べた。コッホは「ある病気で特定の微生物が見いだされる」「その微生物を体内から分離できる」などの原則を発表し、この考え方に基づき感染症診断には主に培養検査が使われている。遺伝子検査では培養しなくても微生物が見つかり、感染症診断に新たな解釈が必要になるとの認識を示した。その上で、感染微生物の「病原性」や「検体情報」と共に、ウイルスや菌が多いか少ないかの「定量的情報」が重要になると指摘した。●「検査知識の差」埋める努力を 森永氏はまた、コロナ禍では流行の経過とともに政府の感染対策が変わり、検査の目的も「早期発見・封じ込め」から「スクリーニング・クラスター対策」「外来の迅速診断・POCT」へと変化してきたことを説明。また、高度医療機関では精度が高い遺伝子検査が必要な一方、プライマリケアや薬局では手軽で比較的安価な抗原検査キットが使われるとし、政府の感染対策や医療機関の診療機能によって、使用する検査の種類が異なることを再認識しておくべきだと述べた。