「夢多き分析科学の未来へ」をテーマに掲げた第34回生物試料分析科学会年次学術集会が3月23~24日、大阪工業大学梅田キャンパスOIT梅田タワーで開催された。特別講演では、摂南大学農学部教授の井上亮氏が「うんちだって立派な生物試料」と題して微生物叢に関する最新トピックスを報告した。従来、生物試料としても価値が低いと思われていた糞便が近年、多くの情報を持つ微生物叢として注目され研究が進んでいることを説明。微生物叢には細菌叢や真菌叢、ウイルス叢があるとした上で、すでに社会実装されている腸内細菌叢検査は、予防医学分野で活用できる可能性があることなどを紹介した。
特別講演以外でも、天理大学医療学部教授の山西八郎氏が「臨床検査データを合成・縮約する」、産業技術総合研究所の城真範氏が「血液検査値に偏差値をつける」をテーマにそれぞれ講演。主成分分析や因子分析・分散分析などの多変量解析、臨床検査データの分布と正規化方法など、統計解析の話題を取り上げた。
若手臨床検査技師によるキャリア開発と研究活動をテーマとするシンポジウムも組まれ、微生物や生化学、病理分野で活躍する病院勤務の若手技師3人が講演した。