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尿ナトカリ比の目標値を設定 高血圧学会が公式見解

 日本高血圧学会は10月8日、尿中のナトリウムとカリウムの濃度比である「尿ナトリウム/カリウム比」(尿ナトカリ比)について、学会の公式見解となるコンセンサスステートメントを発表した。健常者に対する目標値を設定したのがポイントで、平均2未満を至適目標、平均4未満を実現可能目標とした。食事から摂取した食塩、カリウムの量を客観的に評価できる指標として、高血圧の予防や管理などに活用するよう求めている。

 尿ナトカリ比は高血圧や循環器病リスクと関連することが報告されている。非高血圧の20歳以上成人約2600人について調べた東北メディカル・メガバンク機構のコホートでは、尿ナトカリ比の10日間の平均値が高いグループほど家庭血圧の平均値が高くなった。また、米国で約1万人を8.8年追跡した結果、尿ナトカリ比が高いと循環器病発症リスクが直線的に増加することが報告されている。

 目標値は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)を基に決定した。ナトリウム、カリウムとも1日の摂取基準を守っている日本人の尿ナトカリ比を調べたところ、男性が1.6~2.2、女性が1.7~1.9となり、2未満であれば「日本人の食事摂取基準」を満たすと判断した。一方で、宮城県登米市や滋賀県長浜市などのコホート研究では実際の平均値は3~4であることから実現可能目標を4未満と設定した。健常者に対する目標値で、CKDや心不全などの患者には使わない。

●週4日以上の随時尿から平均値を算出

 尿ナトカリ比は食後に上昇し、また、朝晩が高く日中に低下する日内変動がある。このためコンセンサスステートメントでは、週4日以上、異なる時間帯に採取した随時尿での測定値から平均値を算出する方法を強く推奨している。


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