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凝固検査、検体取り扱い「コンセンサス」順守を



 凝固検査検体の取り扱いを定めた学会コンセンサスの順守を促そうと、日本検査血液学会標準化委員会のワーキンググループ(WG、橋口照人委員長=鹿児島大学大学院教授)が周知活動を再び始めた。コンセンサスの推奨内容をA4判1枚にまとめた要旨を全学会員などに配布し、検査室に張り出したりして活用するよう求めている。WGでは「患者さんの病態を正しく反映した検査結果を報告するため」として、凝固検査を行う全国の検査室に順守を求めていく考えだ。


 学会コンセンサスは、採血管や検体の処理・遠心条件、測定前の確認事項、検体保存条件をまとめた内容で、当時凝固検査標準化WG委員長だった家子正裕氏(現WG顧問、札幌保健医療大学)らが中心となって作成した。2016年3月に学術論文として同学会雑誌に掲載されている。


 家子氏によると当時の川合陽子理事長からの要請を受け2012年ごろから作成に着手。米国や英国のガイドラインを参考に、WGによる検証実験の結果を踏まえて、凝固検査のエキスパートによるコンセンサスとして作成した。その後、学会学術集会などの機会を捉えて順守を訴えてきたが、十分に普及していない。


●遠心条件の順守は半数


 WG委員の桝谷亮太氏(大阪医科薬科大学病院)ら有志が2021年10〜11月に関西圏などの118施設を調べたところ、コンセンサスの認知度は89.0%だった一方、実践しているのは32.2%で、知っていても守れていない施設が多いことが分かった。


 詳細に検討すると、採血管の種類や検体の保存方法などの推奨事項は順守率が高かった。しかし、遠心温度(18〜25度)、遠心力・時間(1500×g・15分以上、または2000×g・10分以上)の順守率はそれぞれ54.2%、48.3%と半数にとどまった。


 この原因について桝谷氏は、特に中小規模の検査室では遠心分離機の台数が限られるため生化学検査の検体と一緒に遠心せざるを得ず「比較的遠心時間が早い生化学検査の条件に合わせ、結果報告時間(TAT)を重視する施設が多い」と分析。また、WG委員で調査にも参加した松田将門氏(福島県立医科大学)は、以前、自身が新潟県内の実態を調査した結果でも順守率は、検査数やスタッフ数よりも遠心機の台数に左右される傾向だったとし、「生化学検査と共用しているため温度設定のない遠心機を使うなど、台数の少なさが順守率の低さにつながっている」としている。


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