広島大学病院の臨床検査部門は9月28日、一般検査分野の人材育成をテーマに、第3回の臨床検査研修会を広島市の同病院で開いた。弘前大学医学部附属病院(青森県弘前市、644床)の石山雅大医療技術部長が特別講演し、ファースト、セカンド、サードの3段階の人材育成を提唱した。セカンドが一般検査での指導的な立場に当たり、認定資格を取得し、判断が難しい結果や細胞にも責任が持てるなどの人材像を示した。
石山氏によると3段階の人材育成は、看護師の教育を参考にした。ファーストは一般検査の担当技師を想定し、多種多様な検体の扱い方を習得し、肉眼的な所見の観察も身に付ける。尿沈渣で正常細胞と異型細胞の検出ができ、視野全体の背景を意識した幅広い「鏡検力」を習得する。
セカンドは指導的な立場を想定。求められる能力として、▽判断が難しい結果や細胞に責任が持てる▽検査室で責任ある立場になり院内外での発信力を持ち、認定技師を取得▽他院からの相談への対応、学会や研究会で指導的な立場になる―と列記した。生化学や細菌などの他分野との関連を考慮し、それぞれの検査結果を総合的な視点で評価できる能力を獲得する。
サードはマネジメントの能力を兼ね備える。総合力とマネジメント力を持ちながら一般検査に従事する上級者のイメージを示した。
その上で石山氏は、自身の経験を示しながらそれぞれのステップでの留意点を具体的に解説した。
一般検査は、尿や便、髄液、寄生虫など、取り扱う検体の種類が多く、さらに医療や疾患などの幅広い知識が求められる。また、定性・定量検査から細胞の分類や算定、異型細胞の検出と「やることが多い」ことも特徴だとした。
石山氏は、90代女性患者に看護師が摘便したところ不明成分が採取されたエピソードを示しながら、検査周辺のことに幅広く対応できる力量が求められると指摘した。「なんでも屋ではないが、何にでも対応できる力量は必要」とした。
●鏡検は必ず背景から確認を
鏡検については、視野の真ん中からではなく、まず全体の背景から確認していくことが重要だとの認識を示した。また、ほかに教育上、意識していることとして、赤血球数や白血球数は数値を提示させる、指定した成分を鏡検で提示させる―の2点を挙げた。
セカンドでは他の検査部門との連携が求められるとし、生化学検査、細菌検査、血液検査、病理細胞診検査、生理検査との関連を解説した。この中で生理検査との関連について、心電図でf波を検出した60代男性の心房細動の症例を提示。各検査室が連携し、血液像を確認したりして、Streptococcus gallolyticusを検出した経験を述べ、診療側へのアドバイスサービスができたことを示した。
●次回テーマは感染症検査
同日の研修会は、広島大学病院の臨床検査部門が各検査分野の人材育成をテーマにシリーズで開いているもの。次回は来年2月8日(土)の予定で、感染症検査分野を取り上げる。九州大学病院検査部の清祐麻紀子氏らが講演する。
▼広大検査部門研修会
【石山先生 講演】(約50分)
▼広大検査部門研修会
【山﨑先生 企画趣旨説明】(約2分)