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タスクシフト巡り技師長、若手技師らが議論  大臨技学会


 第7回大阪府臨床検査技師会医学検査学会が11日、大阪市のオービックホールで開かれた。「タスクシフト大討論会」と題したパネルディスカッションでは臨床検査技師長と、若手技師らがそれぞれの立場から講演。技師長からはタスクシフトへの対応は病院全体で考えるテーマであることや、業務拡大には人員が必要といった現実的な指摘もあった。若手技師からは救急現場や内視鏡室でのタスクシフトを通じて検査技師の役割を見いだしている事例などが報告された。


 堺市立総合医療センター臨床検査技術科技師長の佐々木伸也氏は、タスクシフトの推進は検査部門や検査技師だけでなく病院全体で考える必要があると指摘。同病院では経営幹部や診療、看護、事務、薬剤部門などで組織する委員会を立ち上げ、職員全体の業務負担軽減策を検討しているとした。佐々木氏は、「検査技師だけの目線でなく、いろいろな職種の目線を持って検討する必要がある。それぞれの業務内容やスタッフ数を考慮し、バランスを考えながら広い視野を持って対応している」との考えを示した。


 市立岸和田市民病院医療技術局中央検査部技師長の六尾哲氏は、既に取り組んでいる業務も多いとした上で、業務拡大には「やはり人員が必要。人を増やさず効率を上げて時間をつくり、現状を維持しながらできるタスクシフトを進めていきたい」などと語った。


●「専門性を生かせるフィールドを模索できる」


 一方、若手技師からは大阪赤十字病院臨床検査科部の沼田智志氏が救命救急センターでの検査技師の診療支援活動を報告した。多職種で構成する救命救急チームで、静脈路確保や検体採取等の業務を担っており、医師や看護師からは検査技師による支援を評価するアンケート結果が得られていることを紹介。救急医療への検査技師の参入について、「医師や看護師の業務負担の軽減だけでなく、検査技師の専門性を生かせる新たなフィールドを模索することができる」と述べた。


 畷生会脳神経外科病院検査科の貫上美咲氏は、内視鏡室配属の検査技師としての活動を報告した。内視鏡検査件数の増加に加え、検査技師が配属されたことで検査時間短縮や効率化、検査提出準備や病理結果返却時間などに貢献できていることを説明。「当初は人員にゆとりがない状態だったが、積極的に参画した結果、病院経営にも貢献できたと感じている」とタスクシフトの意義を語った。


●参加者への「リアルアンケート」も実施



 タスクシフトに関するパネルディスカッションでは、会場スクリーンのQRコードをスマホで読み取り、演者の講演を聴きながら参加者の意見を聞く「リアルアンケート」も行われた。約2時間の間に4回のアンケート集計が行われ、タスクシフトについて「推進派」「どちらかというと推進派」「現状維持派」「どちらかというと現状維持派」から選ぶアンケートでは、会議開始前に「推進派」「どちらかというと推進派」が合わせて約6割だったが、会議終了時点には約7割まで増えた。

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