top of page

ゲノム検査 先進国並みの体制整備を  医学会と日医が共同提言

医学会と日医がゲノム医療の提言を発表した

 日本医学会・日本医学会連合と日本医師会は3月13日、昨年6月に施行されたゲノム医療推進法に対する提言を共同で発表した。がんや難病、生殖医療など、全ての領域のゲノム医療を担当できる医療機関を全国に整備することや遺伝カウンセラーの国家資格化を求めたのが柱。検査についても、諸外国並みの体制整備を提言した。今後、両団体は政府の協議会などの場で提言の実現を訴えていく方針。


 提言は同日、両団体のトップらが東京都内の日医会館で記者会見して発表した。日本医学会・日本医学会連合の門脇孝会長は席上、「ゲノム医療推進法の趣旨が幅広い領域に漏れなく反映されるよう基本計画が策定されることを願っている」と述べ、政府が現在、策定を進めている基本計画に提言の内容を盛り込むよう求めた。基本計画は、厚生労働省のワーキンググループが昨年12月から議論を始めており、これまでに有識者のヒアリングを終え、4月から本格的な議論に入る見通しとなっている。


 ゲノム医療の提供体制や検査体制の整備など、国が講じる基本的な施策ごとに提言を示した。このうち診療体制については、ゲノム医療はほぼ全ての診療領域に関係することから、担当できる医療機関をゲノム医療中核拠点病院・ゲノム医療拠点病院に指定し診療提供体制を全国に整備すると提言。また検査の実施体制については、2018年の医療法等改正で一定の改善がされつつあるとした上で、「さらにわが国独自の外部精度管理調査体制を構築するなど、先進諸外国の水準に比肩する体制整備を推進していく」と明記した。


 提言の案をまとめた日本医学会検討委員会の福嶋義光委員長(信州大学)は会見で、「わが国では精度管理が不十分で、得てしてゲノム解析は海外へ流れがちだが、日本国民の解析は国内でやってほしい。そのための仕組みづくりを検討してもらいたい」と述べた。


 ほかに、▽遺伝カウンセラーを医療職として国家資格化し、養成システムの拡充を図るべき▽ゲノム医学研究のための研究者ネットワークや基盤インフラを整備すべき▽生命倫理の課題を扱う「公的プラットフォーム」を早急に整備すべき―などとした。


●遺伝子検査ビジネス、厚労省が規制を


 提言は、医療以外の目的で行われるゲノム検査にも触れている。消費者向けのDTC遺伝子検査ビジネスが国内で法的規制がないまま行われているとの問題意識を示し、現在の経済産業省ではなく、諸外国と同様、保健衛生行政を所管する厚労省が規制を担うよう要請。「実用に耐える科学的・倫理的水準が確保できるように、国は責任を持って標準的な枠組みの策定を検討すべき」とした。


 提言は、日本医学会の「遺伝子・健康・社会」検討委員会がまとめた。ゲノム医学研究、社会実装、生命倫理、検査精度の4つのワーキンググループで検討して成案をまとめ、加盟する142の分科会の意見を聞いた上で、2月の医学会の評議会で承認された。検討委員会の委員は11人で、臨床検査分野からは日本大学医学部の中山智祥教授が名を連ねている。


記事下バナー_地域特性から考える「明日の検査室」_PC.jpg

その他の最新記事

MTJメールニュース

​株式会社じほう

bottom of page