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【能登地震】技師派遣から現地採用支援にシフト 日臨技会長らが穴水・輪島の検査室を視察

島中院長らとの面会に臨む日臨技幹部ら

 日本臨床衛生検査技師会の宮島喜文会長らが2月29日、能登半島地震で被害を受けた石川県内の病院検査室の視察に入った。同日は公立穴水総合病院と市立輪島病院を訪れ、院長や臨床検査技師長らと意見を交換。地震発生から2カ月が過ぎたことを受け、宮島会長は、現地への技師派遣は2月末で区切りをつけ、今後は災害対応としての人的支援ではなく、復興のための現地検査室での検査技師の採用協力にシフトさせたい意向を伝えた。


●「土日が厳しい」 穴水総合・島中病院長


 同日は日臨技の深澤恵治専務理事、第73回日本医学検査学会の油野友二学会長(北陸大学医療保健学部教授)と共に金沢市から能登半島に入り、穴水総合病院を訪問した。同病院検査室の検査技師は、LSIメディエンスのブランチラボラトリーや県外から派遣されている検査技師を除くと現在3人で、3月末に1人退職するという。


兵庫県から支援に入った浦みどりさん(左)

 意見交換では同病院の島中公志病院長が、「救急医療も担っており、生理検査を中心にして、4月以降は土日の検査機能を維持するのが厳しくなる」と説明。宮島会長は、震災前に比べると検体検査、生理検査ともに減少傾向にあることに触れながら、「発生から2カ月が過ぎて、災害対応として日臨技会員の検査技師を派遣する今の形の支援は区切りをつけたいと思っているが、会員への案内等を通じて、病院で検査技師を確保できるような復興のための採用支援をしていきたい」と述べた。島中病院長は、「土日の検査体制に力を貸してもらえる検査技師の方がいればありがたい」と支援を強く求めた。


●「排水できない」 輪島病院・川尻技師長


 その後に向かった輪島病院では臨床検査技師長の川尻美和子氏らと面会した。同病院検査部は検査技師6人が所属しており、2月29日時点で県外からの検査技師1人が支援に入っている状況だ。被災した検査技師は自宅片付け等のための休暇を取得しながらローテーションを組んでいる。


輪島病院検査部を激励する宮島会長

 川尻技師長は、人員体制は何とか維持できているとしながらも、「最も困っているのは病院の排水設備が機能していない点だ。給水は早い段階で復旧したが、排水ができないので大量の水を使う自動分析装置の使用が制限されている状況だ」と話す。災害用のドライケミストリー検査等を使ってやりくりしており、排水設備の復旧にはまだ時間がかかる見通しだという。


●現地入り検査技師 延べ405人


 地震発生以降の日臨技会員による現地への検査技師派遣は2月29日時点で延べ405人となった。病院検査室の機能維持支援では穴水総合病院172人、輪島病院17人、公立宇出津総合病院5人。避難所での深部静脈血栓症(DVT)検診137人、弾性ストッキング配布・指導8人などがサポートに入った。また、石川県保健医療福祉調整本部での情報収集や、日臨技との橋渡し役を果たすリエゾンは59人が担当した。


●穴水総合の検査技師募集を特設サイトに掲載


検査機能維持が厳しい穴水総合病院

 宮島会長による視察や現地からの依頼を受け、日臨技は3月4日、4月以降の検査機能の維持が難しい穴水総合病院の臨床検査技師を含めた求人情報を、災害支援特設サイトに掲載した。日臨技ホームページのトップに掲載することで、広く会員に周知する。日本臨床検査学教育協議会にも協力を要請した。同病院では臨床検査技師のほか、看護師や薬剤師、診療放射線技師など幅広い医療職を募集している。





病院近くの輪島朝市周辺
がれきが残ったままの輪島朝市周辺

記事下バナー_地域特性から考える「明日の検査室」_PC.jpg

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