医学検査学会、これからどうなる? 臨床検査の現場は、国の規制をはじめ、関係学会の活動や装置・試薬等の技術革新、職能団体の取り組みなど、業界内のさまざまな動きの影響を受けています。1月からスタートする新企画「サクッと解説!検査技師必見トピックス」では、検査業界で注目されている話題を取り上げ、トピックスの背景や概要などをざっくり解説していきます。 臨床検査技師会が主催する学会の在り方が話題になっています。「○○医学検査学会」と呼ばれる学会イベントですが、大きく分けて、日本臨床衛生検査技師会が年1回開催する全国規模の「日本医学検査学会(以下、全国学会)」と、支部ごとに開催する「○○支部医学検査学会(以下、支部学会)」、そして都道府県臨床(衛生)検査技師会が主催する「都道府県医学検査学会(以下、県学会)」があります。毎年5000人前後が参加する全国学会から、1000人前後の支部学会、より小規模な県学会と、開催規模に応じた3段階の立て付けです。このうち、最も開催規模が大きい全国学会のプログラムなどを見直してはどうかという検討を日臨技が始めています。2024年5月に開催された日本医学検査学会 検討課題に挙がっているのは、全国学会の企画内容や開催運営の在り方です。一つの方向性として出ているのは、臨床検査技師のさらなる活躍が見込まれる幅広い分野の関連医学会との共同セッションの枠を増やしながら、企画や議論全体のレベルをより高めようという考え方です。 医師の働き方改革に伴うタスクシフト・シェアに向き合う中で、検査技師が果たす役割は広がりを見せ始めています。そうした検査室外で活躍する、もしくは活躍したいと考えている検査技師にとって、各領域の医師らがどういった検査技師を求めているのかを知り、自分たちにはどういった課題があるのかを認識できる場にしたいというのが趣旨です。 来年5月の全国学会では、日本心血管インターベンション治療学会や日本病理学会との共同企画が計画されています。それ以外にも、日本臨床神経生理学会や日本臨床救急医学会、日本睡眠学会などとの共同企画の可能性を探っていく方針です。各領域の第一線にいる医師らとのセッションで、必要とされている検査技師像を直接聞く機会を提供することは、参加者からも共感してもらえるような魅力的な企画になるはずです。 また、全国学会の見直しは、どちらかというと基礎的な知識、スキルに重点が置かれ、若手検査技師の登竜門的な位置付けの県学会、支部学会との企画レベルのすみ分けにもつながっていきます。こうした医学検査学会全体の再構築ともいえる試みには、日臨技の横地常広会長が意欲を見せており、実現に向けた関係学会との協議が始まる見通しです。 検査技師の皆さんが参加する学会は、医学検査学会だけでなく、専門領域別に分かれている検査関連の学会も多くあります。ただ、検査技師にとってのホームグラウンドと言えるのは、やはり医学検査学会になるのではないでしょうか。現場を引っ張る多くの検査技師が集まり、最新の学術情報や話題について議論を交わし、自施設以外の検査技師との交流を通じた顔の見える関係づくりが生まれる貴重な場です。スマートフォンでいつでもどこでもさまざまな情報が得られるようになった今でも、医学検査学会に参加する意義は大きくは変わらないと思います。 全国学会の見直しの検討が始まったタイミングで、皆さんも、医学検査学会に期待することや、参加する意義を改めて考えてもいいのかもしれません。時代に見合った医学検査学会の在り方を皆が考えることで、取り上げるテーマや議論の幅が広がり、今以上に活気のある医学検査学会になっていくのではないでしょうか。(水)
臨床検査の現場は、国の規制をはじめ、関係学会の活動や装置・試薬等の技術革新、職能団体の取り組みなど、業界内のさまざまな動きの影響を受けています。1月からスタートする新企画「サクッと解説!検査技師必見トピックス」では、検査業界で注目されている話題を取り上げ、トピックスの背景や概要などをざっくり解説していきます。 臨床検査技師会が主催する学会の在り方が話題になっています。「○○医学検査学会」と呼ばれる学会イベントですが、大きく分けて、日本臨床衛生検査技師会が年1回開催する全国規模の「日本医学検査学会(以下、全国学会)」と、支部ごとに開催する「○○支部医学検査学会(以下、支部学会)」、そして都道府県臨床(衛生)検査技師会が主催する「都道府県医学検査学会(以下、県学会)」があります。毎年5000人前後が参加する全国学会から、1000人前後の支部学会、より小規模な県学会と、開催規模に応じた3段階の立て付けです。このうち、最も開催規模が大きい全国学会のプログラムなどを見直してはどうかという検討を日臨技が始めています。2024年5月に開催された日本医学検査学会 検討課題に挙がっているのは、全国学会の企画内容や開催運営の在り方です。一つの方向性として出ているのは、臨床検査技師のさらなる活躍が見込まれる幅広い分野の関連医学会との共同セッションの枠を増やしながら、企画や議論全体のレベルをより高めようという考え方です。 医師の働き方改革に伴うタスクシフト・シェアに向き合う中で、検査技師が果たす役割は広がりを見せ始めています。そうした検査室外で活躍する、もしくは活躍したいと考えている検査技師にとって、各領域の医師らがどういった検査技師を求めているのかを知り、自分たちにはどういった課題があるのかを認識できる場にしたいというのが趣旨です。 来年5月の全国学会では、日本心血管インターベンション治療学会や日本病理学会との共同企画が計画されています。それ以外にも、日本臨床神経生理学会や日本臨床救急医学会、日本睡眠学会などとの共同企画の可能性を探っていく方針です。各領域の第一線にいる医師らとのセッションで、必要とされている検査技師像を直接聞く機会を提供することは、参加者からも共感してもらえるような魅力的な企画になるはずです。 また、全国学会の見直しは、どちらかというと基礎的な知識、スキルに重点が置かれ、若手検査技師の登竜門的な位置付けの県学会、支部学会との企画レベルのすみ分けにもつながっていきます。こうした医学検査学会全体の再構築ともいえる試みには、日臨技の横地常広会長が意欲を見せており、実現に向けた関係学会との協議が始まる見通しです。 検査技師の皆さんが参加する学会は、医学検査学会だけでなく、専門領域別に分かれている検査関連の学会も多くあります。ただ、検査技師にとってのホームグラウンドと言えるのは、やはり医学検査学会になるのではないでしょうか。現場を引っ張る多くの検査技師が集まり、最新の学術情報や話題について議論を交わし、自施設以外の検査技師との交流を通じた顔の見える関係づくりが生まれる貴重な場です。スマートフォンでいつでもどこでもさまざまな情報が得られるようになった今でも、医学検査学会に参加する意義は大きくは変わらないと思います。 全国学会の見直しの検討が始まったタイミングで、皆さんも、医学検査学会に期待することや、参加する意義を改めて考えてもいいのかもしれません。時代に見合った医学検査学会の在り方を皆が考えることで、取り上げるテーマや議論の幅が広がり、今以上に活気のある医学検査学会になっていくのではないでしょうか。(水)