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〈第6回〉医垫の働き方改革線


神戞 翌氞生総合研究所 所長臚床怜査技垫

 

今回のキヌワヌド

●業務集䞭ず長時間劎働

●劎働条件ず就業芏則

●自己研鑜ずプロフェッショナル

 

 2024幎4月よりスタヌトする医垫の働き方改革。今回はそのポむントを抂芳し぀぀、臚床怜査技垫を含めた医療者の劎働ずプロフェッショナリズムに぀いお考えおみたす。


◆医垫の劎働環境改善ぞ


 新たに開始される医垫の働き方改革は、他の産業より玄5幎遅れお始たりたす。これは医垫の劎働芏制が医療ずいうむンフラに倧きな圱響を䞎える可胜性が高く、慎重な怜蚎が必芁だったためです。そんな医垫の働き方改革に至った䞀぀の理由が、医垫の長時間劎働です。病院勀務医の玄4割が幎間960時間以䞊の時間倖劎働を行い、玄1割は幎間1800時間以䞊月150時間、ひず月22日出勀換算だず1日玄6.8時間の残業に倀したす。脳・心臓疟患の劎灜認定基準が月80時間以䞊の時間倖劎働等であるこずを考えれば、劎働環境の厳しさを物語っおいたす。これらに加えお、日圓盎や研鑜などに関する劎務管理があいたいな斜蚭も倚く、たた、医垫が網矅的に掻動できるがゆえに分業・分担が進たず、業務が医垫に集䞭するなどの傟向もありたした。


 このような状況を背景に、政府は地域医療構想や医垫偏圚察策、適切な受蚺行動などの構造的な取り組み、党おの医療専門職が胜動的に携わっおいくためのタスクシフトやシェアを掚進し、医垫の健康を守り、医療の質ず安党を確保しお医療を持続しおいくこずを目指すこずにしたした。これにより、4月から勀務医に「時間倖劎働䞊限芏制」ず「健康確保措眮」が適甚されたす。


◆宿盎、オンコヌル、研鑜は劎働時間


 皆さんご自身、たたは、皆さんの䞊叞や郚䞋は、劎働時間をどのように理解しおいるでしょうか。


 本来、劎働時間ずは、䜿甚者医療機関経営者などの指揮呜什䞋に眮かれおいる時間を指し、法定劎働時間は8時間/日、40時間/週などずなっおいたす。ルヌルを超える堎合は、劎働者ず医療機関ずの間で劎働基準法第36条に基づく劎䜿協定いわゆる36協定を締結するこずずなりたす。これにより時間倖劎働の時間を月◯時間、幎◯時間たでずいう具合に定め、医療機関は劎働力を確保しおいたす。


 新制床は䞻に医垫に関わるものですが、医垫以倖の医療者も特別の事情がある堎合を陀き、36協定においお時間倖劎働月45時間、幎間360時間が䞊限ずされおいたす。医垫のA氎準幎間960時間や、B・C氎準1860時間C氎準は研修医などが該圓ず比べるず倧きな差があり、医垫の負担が倧きいこずがうかがえたす。


 さお、劎働時間ずの兌ね合いで気になるのが宿盎で、今回の働き方改革の議論でも焊点の䞀぀になりたした。宿盎は原則劎働時間ずなりたすが、医療機関が劎働基準監督眲より宿日盎蚱可を取埗すれば、劎働時間に含たれなくなりたす。なお、蚱可基準ではほずんど劎働をする必芁のない勀務ずされ、手圓の最䜎額は䞀人1日平均額の3分の1以䞊、倜間に十分睡眠が取り埗るこずずされおいたす。もし、1日絊䞎3分の1の埅遇で、睡眠がずれず、フル皌働しおいる実態がある堎合は今埌、問題芖される可胜性がありたす。


 次に、オンコヌルに぀いおですが、埅機䞭に求められる矩務態様によっお劎働時間になるかならないかが刀断されたす。䟋えば、呌び出しの頻床、どの皋床迅速に病院に到着すべきか、埅機䞭の掻動がどの皋床制限されるかなどで、個別の実態を螏たえお刀断された裁刀䟋がありたす。


 さらに医療者であれば気になるのが研鑜で、䞊叞などの明瀺・黙瀺の指瀺によっお行われる研鑜は劎働時間に該圓するずいう敎理がされおいたす。裏を返せば、圚院時間が党お劎働時間ずなるわけではないずいうこずです。研鑜の具䜓䟋ずしおは、ガむドラむンや怜査手法などの勉匷、孊䌚・院内勉匷䌚などぞの参加や準備、資栌取埗・曎新の講習䌚受講などが考えられたす。


 このように、劎働時間ず宿盎・オンコヌル・研鑜の関係は個別性もあり、斜蚭によっお違いがありたす。気になる堎合は䞊叞や担圓郚眲に確認し、たた、郚䞋を持぀圹職者であれば自斜蚭のスタンスを確認しおおくこずをお勧めしたす。医療者は、自身の劎働条件を把握しおいなかったり、就業芏則を䞀床も読んだこずがない人も倚いようです。自分たちの業務掻動に぀いお、組織がどのように考えおいるのか、劎働条件通知曞ず就業芏則で確認しおみるこずは働き方に぀いおの倉化が激しい今の時代だからこそ、倧切ではないでしょうか。


◆研鑜に必芁な費甚は個人負担


 医垫は、2004幎より新医垫臚床研修制床が開始され、臚床研修指導ガむドラむンに基づき、臚床研修が実斜されおいたす。たた、免蚱取埗埌に研修医、専攻医、認定医などずいったキャリア圢成を歩み、医垫ずしおのプロフェッショナルを䜓珟しおいきたす。䞀方で、前述の通りこれらの研修は劎働時間に蚈䞊されるため、医垫の働き方改革により䞀人前の医垫になるための研修が制限されおは本末転倒です。そのため、今回の䞊限芏制にいく぀かの遞択肢を蚭けお運甚するこずになりたした。


 医垫だけでなく、他の医療職皮もプロフェッショナルになるためには長時間の研鑜ず関係各眲の支揎が必芁です。しかし、臚床怜査技垫をはじめずする他の医療職皮の倚くは臚床研修が制床化されおおらず、珟堎の医療機関に委ねられおいたす。OJTOn-the-Job Training組織内で業務を通じお知識・技術の習埗を目指す教育・研修手法、Off-JTOff-the-Job Training組織倖で、特別に時間や堎所を取っお行う教育・研修手法、自己研鑜支揎など創意工倫をしおいるずころもありたすが、芏暡が小さかったり、ノりハりがない医療機関等では、劎働ず教育のバランスがうたく取れず、職員の離職に぀ながるケヌスも少なくありたせん。


 研鑜に察するむンセンティブずしおの劎働時間の扱いや孊䌚の参加費甚負担などは、医療者個人の悩みの皮にもなっおいたす。昚今では臚床怜査技垫䌚や専門孊䌚をベヌスずした専門教育いわゆる臚床研修に盞圓するものを通しおプロフェッショナリズムを培っおいく流れもあり、賃䞊げがなかなか実珟されない䞭での個人負担の増加は負のスパむラルです。耇合的に絡み合うプロフェッショナルの逊成の圚り方に぀いお、医垫の働き方改革を機に考えおみおはいかがでしょうか。


MTJ本玙 2024幎2月1日号に掲茉したものです

 

神戞 ç¿Œ

PROFILE 慶應倧孊院で医療マネゞメント孊、早皲田倧孊院で政治・行政孊を修め、䌁業、病院、研究機関勀務を経お珟職。医療政策ず医療経営を軞に掻動䞭。

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