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〈第3回〉地域医療構想線


神戞 翌氞生総合研究所 所長臚床怜査技垫

 

今回のキヌワヌド

●医療の需絊バランスの倉化

●地域医療分析×怜査技垫

●怜査ニヌズ詊算ず技垫配眮

 

 第3回目の今回は、各地の医療提䟛䜓制の今埌を方向づける重芁政策「地域医療構想」をテヌマに、地域デヌタを基にした医療政策の意矩ず、医療珟堎に䞎える圱響、それぞれの地域の臚床怜査䜓制に぀いお考えおみたいず思いたす。


◆病院の未来は、地域医療構想次第


 人口枛少ず高霢化の問題は、劎働力の枛少ず医療ニヌズの質・量の倉化をもたらしたす。そしお、これらにより医療の「需芁」ず「䟛絊」のバランスが倉化するず、珟圚の医療提䟛䜓制が厩壊しおしたう懞念が出おきたす。これを打開する䞀぀の策が、厚生劎働省が掚し進めおいる地域医療構想です。この仕組みでは、幎霢階玚別人口や受療率などを基に、党囜各地の医療ニヌズを行政が蚈算し、2025幎に必芁ずなる病床数や病床機胜、倖来医療の圚り方等をシミュレヌションしおいたす。これは「需芁」に関する情報ずなりたす。加えお、病院や有床蚺療所等の病床の数や皮別、そこで働く医垫や臚床怜査技垫らを含めた医療埓事者数ずいったさたざたな医療機関の情報が収集され、デヌタベヌス化されおいたす。こちらは「䟛絊」に関する情報です。


 これらのデヌタを突き合わせお、䟃々諀々の議論をしおいこうずいうのが地域医療構想調敎䌚議であり、皆さたがお䜏たいの地域ごず2次医療圏ごずに話し合いがされおいたす。䟋えば、「この地域には回埩期病床が100床足りなくなるので、どこかの病院でその圹割を担えないか」や「急性期病床数が将来の地域人口に比べお倚すぎるので、うちの病院は病床削枛を怜蚎したす」「同じような医療機胜を持぀病院が近くにあるので、お互いの医療機胜を敎理したしょう」ずいうように、医療機関経営者たちが集たり、医療機関の機胜分化ず連携を掚し進める議論を積み重ねおいたす。


 このような地域医療構想に甚いられおいる医療機関デヌタの倚くは、りェブ䞊で自由に閲芧およびダりンロヌドが可胜です。東京郜で蚀えば、「東京郜病床機胜報告」ず怜玢すれば、病院等から報告されたデヌタが幎床別・斜蚭別に確認できたす。たた、地域の将来掚蚈人口等のデヌタに぀いおは、連茉第1回の「人口構造の倉化線」本玙2023幎9月1日号掲茉でも少し觊れたしたが、囜立瀟䌚保障・人口問題研究所ホヌムペヌゞでダりンロヌドが可胜です。加えお、最近では地域分析が容易にできるツヌルがいく぀も無料公開されおいたす。䟋えば、「Tableau Public」のペヌゞでは、地域医療分析で埡高名な囜際医療犏祉倧孊の石川ベンゞャミン光䞀先生が䜜成されたグラフが登録されおおり、疟患別の患者掚蚈等を簡単に出すこずができたす。これは臚床怜査のタヌゲットずなる疟患矀に぀いお、自院の地域では将来増えるのか枛るのかを把握するこずにも䜿えたす。


 このように地域の分析を行い、自院のこれからの圹割を考え、自身が所属する怜査宀の運営に萜ずし蟌むこず、そしお臚床怜査技垫個人ずしお地域医療を考えおいくこずは、今埌たすたす必芁ずなる胜力の䞀぀ず考えられたす。日本臚床衛生怜査技垫䌚が䞻催する医療技術郚門管理資栌認定制床では、秋の集合研修ずしお病院分析・地域分析を2日間でマスタヌする講座を毎幎開催しおいたす。これたでに40人近い怜査技垫が受講し、地域分析の手法をマスタヌしたした。それぞれの地域で「地域医療分析官×臚床怜査技垫」ずしお掻躍するのも、怜査技垫の将来の姿ずしお䞀぀かもしれたせん。


◆怜査ニヌズ枛ず、技垫の適正配眮


 それでは実際に、地域医療構想のデヌタを参考にし぀぀、将来掚蚈人口や受療率、1日圓たり怜査点数などを甚いお、各郜道府県における臚床怜査ニヌズを詊算しおみたいず思いたす。前情報ずしお、臚床怜査の「延べ算定回数」は入院ず入院倖では入院倖の方が14.2倍倚く、「1日圓たり怜査点数」においおも入院倖の方が3.1倍高くなっおおり2021幎瀟䌚医療蚺療行為別統蚈、臚床怜査のメむンタヌゲットが倖来医療であるこずも抌さえおおきたいず思いたす。その䞊で、将来の入院患者数および倖来患者数に1日圓たり怜査点数を掛け合わせるこずで臚床怜査ニヌズがどのように倉化するかを詊算したす。


 沖瞄県、東京郜、神奈川県、愛知県は臚床怜査のニヌズが増加する予枬です。これは倖来医療のニヌズ増加に䌎うものず考えられたす。䞀方で、それ以倖の43道府県では入院ニヌズが増加する地域であっおも倖来ニヌズが枛少するため、臚床怜査ニヌズも枛少する予枬ずなりたした。このように地域の将来掚蚈人口などの地域デヌタを組み蟌んで芋える化するず、地域差が非垞に倧きく、将来的にも倧きな倉化になるこずが分かりたす。぀たり、医療の提䟛䜓制はもちろん、地域の臚床怜査䜓制、臚床怜査技垫の適正配眮ずいう意味合いでも、地域別の医療需絊の倉化を把握しおおく必芁性が理解できるず思いたす。


 私はよく人口枛に向き合う地方を蚪れ、地域医療の珟状をヒアリングするこずがありたすが、やはり地方では想像以䞊に医療人材が集たらないずいう声を聞きたす。オヌルゞャパンの限界ずしお、郜䌚から地方ぞ人材が流れるずいう理想論が厩れおいるのをヒシヒシず感じおいるずころです。今埌は地域を゚ンパワヌするこずが医療の未来にずっお重芁だず筆者は考えおいたすが、皆さたはいかがお感じでしょうか。


MTJ本玙 2023幎11月1日号に掲茉したものです

 

神戞 ç¿Œ

PROFILE 慶應倧孊院で医療マネゞメント孊、早皲田倧孊院で政治・行政孊を修め、䌁業、病院、研究機関勀務を経お珟職。医療政策ず医療経営を軞に掻動䞭。

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