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HPV陽性の判定方法など検討 細胞検査士会の阿部会長、専門医と連携

阿部氏
 子宮頸がん検診のHPV検査単独法について細胞検査士会は、細胞診専門医会と連携して対応していく方針だ。阿部仁会長(がん研究会有明病院)は8月15日、本紙の取材に応じ、日本臨床細胞学会ワーキンググループ(WG)に参加し、HPV陽性に対する細胞診判定が適切に行われるよう、標準的な判定方法や研修の仕組みなどについて検討していく姿勢を示した。

 阿部氏は、HPV検査単独法では「一層、細胞判定の技術・能力が必要になる」と述べた。細胞診はHPV陽性へのトリアージ検査として行われ、結果により確定精検(コルポスコープ、組織診)の要否が決まる。阿部氏は、これまでは判断が難しい場合、無理に判定せず、ASC-USとしてHPV検査に回すことがあったとしたが、HPV検査単独法では「しっかりと判定を決めなければ、トリアージにならない」と指摘。判定を回避して仮にASC-USが多くなれば、患者の不利益が生じ、さらに確定精検を行う臨床医の業務の逼迫につながるとの懸念を示した。

 臨床細胞学会は、WGを設け、細胞診判定の在り方について3月から検討を始めている。ASC-USと断定できず疑わしいものはNILMとする、CIN2以上を見落とさない―の2点を基本方針とする妥当性について検討していく。8月には阿部氏らが、HPV検査陽性でASC以上やNILMと判定されたの細胞標本などを持ち寄り、細胞診専門医らと具体的に細胞判定について検討した。

 阿部氏は、「本来、NILMである細胞をASC-USととっている標本などを検討し、こういう場合はNILMでいいという細胞の標準的な見方を検討している」と説明した。セルフチェックのためのサイトの立ち上げや標準的な細胞判定基準などを検討する予定で、来年6月の第66回日本臨床細胞学会総会(春期大会)で何らかの成果が発表される見通しを示した。

●「新たな働き方を」

 阿部氏はまた、HPV検査単独法が導入されれば、対象となる30~60歳の細胞診は従来の1~2割にまで減少するとの見方を示した。その上で、喀痰細胞診を例に、今回も医療技術の発展に伴う業務変化の一つだとの認識を示し、「国の方針を受け入れて、新たな細胞検査士の働き方を考えていくのが最も適切」と述べた。現在、細胞診専門医会で進められている検診全体の精度管理を担う精度管理アドバイザーの役割が一部の細胞検査士に求められるとの考えも示した。

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