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HPV検査導入「時間かけて体制整備を」 日産婦セミナーで青木氏

講演する青木氏

 日本産科婦人科学会は2月9日、子宮頸がん予防についてメディアセミナーを東京都内で開いた。市町村がん検診へ導入される見通しのHPV検査単独法もテーマに取り上げ、検診アルゴリズムの作成の中心になった青木大輔氏(同学会監事、国際医療福祉大学)らが講演した。青木氏は、結果判定に応じて次の検査が変わるなどHPV検査単独法は複雑な工程になるとし、十分に時間をかけて実施体制を整備すべきだとの認識を示した。偽陽性の上昇が懸念されていることなどから「早急に導入すること自体が受診者に迷惑をかける可能性がある」と述べた。


 厚生労働省は、市町村がん検診の指針を近く改正し、HPV検査単独法を市町村の判断で来年度から選択できるようにする予定。現行の子宮頸がん検診は2年に1回の細胞診を行うが、HPV検査単独法では30歳以上に5年に1回のHPV検査を行う。液状検体を導入しHPV陽性であれば「トリアージ検査」として細胞診を行い、さらに細胞診陽性は「確定精検」としてコルポスコープ・組織診を行う。


 青木氏は、HPV陰性者の検診間隔を現行の2年から5年程度に延長できることがHPV検査単独法の最大のメリットだとする一方、▽年齢によって検査方法が異なる(20代は細胞診、30歳以上はHPV検査単独法)▽液状検体を導入する際には、検診実施機関と検査機関との間で検体・情報の流れを確立する必要がある▽トリアージ検査陽性に対する確定精検の受診勧奨と結果把握―などいくつかの課題があることを指摘。適切に運用するためには医師や受診者の理解と協力が不可欠だとし、「国から医師や医療機関への十分な説明と協力要請に期待する」と述べた。


 その上で、先行するフィンランドでは導入前のパイロット事業を9年行い、さらに実施体制が整備された地域でしか導入されていないとし、日本でも拙速な導入を避けるよう強調した。


 同日のメディアセミナーの内容は、後日オンデマンド形式で配信される。

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