〈記者コラム〉今年の干支 年が明けた。今年の干支は巳、ヘビである。脱皮して成長するヘビは昔から、変化や再生の象徴とされるらしい。その柔軟な姿から、環境の変化にしなやかに対応するイメージもあるとか。どの組織にも当てはまりそうなワードで、「今年こそ当社(もしくは当業界、当病院)は環境の変化に柔軟に対応し、知恵をもって事業を再生していこう」なんて、新年会でありがちな挨拶かもしれない。自分で書いておいてなんだが、少々陳腐である。 さて、年頭に当たり、おとそ気分のまま、これからの医療サービスについて想像を広げてみたい。まず思いつくのは、最近よく耳にする「医療DX」である。電子カルテの情報を医療機関などの間で共有する国のサービスが2025年度中に本格始動する。ご承知の通り患者同意の下、臨床検査は43項目が共有される見込みである。情報はマイナンバーを通じて患者も閲覧できる。これがPHR(パーソナルヘルスレコード)につながり、さらにスマートウオッチのようなウエアラブルデバイスと連携する未来が想像できる。 もう一つ注目するのは、オンライン診療。厚生労働省は、医療法を改正し、新たに「特定オンライン診療受診施設」という制度を設ける方針である。医療を提供できる場所は医療機関と居宅等の2カ所のみだが、これにオンライン診療の施設が加わるというのはなかなか画期的だ。医療資源の乏しい地方や忙しい人にとっては受診の選択肢が増えるだろう。 こうした動きは医療サービスに何をもたらすのだろうか。公的医療保険の枠、場所や時間の制約にとらわれず、もっと自由に医療や健康サービスを選べる「医療のマルチチャネル化」だろうか。そんな変革の萌芽が、巳年の今年、あるのかもしれない。 臨床検査が医療や健康管理に不可欠な機能であるなら、こうした変化に対応していかなければならない。視野を外にも広げ、地域全体として検査機能を提供していくという発想が求められてくるように思う。******* 新年おめでとうございます。本年も臨床検査技師の皆さまに有益と思われる情報を一生懸命、提供してまいります。引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。(枇)
年が明けた。今年の干支は巳、ヘビである。脱皮して成長するヘビは昔から、変化や再生の象徴とされるらしい。その柔軟な姿から、環境の変化にしなやかに対応するイメージもあるとか。どの組織にも当てはまりそうなワードで、「今年こそ当社(もしくは当業界、当病院)は環境の変化に柔軟に対応し、知恵をもって事業を再生していこう」なんて、新年会でありがちな挨拶かもしれない。自分で書いておいてなんだが、少々陳腐である。 さて、年頭に当たり、おとそ気分のまま、これからの医療サービスについて想像を広げてみたい。まず思いつくのは、最近よく耳にする「医療DX」である。電子カルテの情報を医療機関などの間で共有する国のサービスが2025年度中に本格始動する。ご承知の通り患者同意の下、臨床検査は43項目が共有される見込みである。情報はマイナンバーを通じて患者も閲覧できる。これがPHR(パーソナルヘルスレコード)につながり、さらにスマートウオッチのようなウエアラブルデバイスと連携する未来が想像できる。 もう一つ注目するのは、オンライン診療。厚生労働省は、医療法を改正し、新たに「特定オンライン診療受診施設」という制度を設ける方針である。医療を提供できる場所は医療機関と居宅等の2カ所のみだが、これにオンライン診療の施設が加わるというのはなかなか画期的だ。医療資源の乏しい地方や忙しい人にとっては受診の選択肢が増えるだろう。 こうした動きは医療サービスに何をもたらすのだろうか。公的医療保険の枠、場所や時間の制約にとらわれず、もっと自由に医療や健康サービスを選べる「医療のマルチチャネル化」だろうか。そんな変革の萌芽が、巳年の今年、あるのかもしれない。 臨床検査が医療や健康管理に不可欠な機能であるなら、こうした変化に対応していかなければならない。視野を外にも広げ、地域全体として検査機能を提供していくという発想が求められてくるように思う。******* 新年おめでとうございます。本年も臨床検査技師の皆さまに有益と思われる情報を一生懸命、提供してまいります。引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。(枇)