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1日5時間超の病棟業務を確認 病棟業務の実証研究、搬送リスクが低減

病棟業務について意見を交わした
 臨床検査技師の病棟常駐について厚生労働省研究班が済生会熊本病院(熊本市、400床)で行った実証研究の結果がまとまり、5月11日、金沢市で開かれた日本医学検査学会のシンポジウムで報告があった。2つの循環器病棟で1日平均300分以上の関連業務があり、7割近くが心エコーや心電図検査などの検査業務だった。検査室への患者搬送が不要になったことで病棟看護師の業務が1日100分程度減少。患者教育や退院調整支援など看護の専門性を発揮するための時間を持てるようになった。

 実証研究は、九州大学大学院医学研究院の中島直樹教授を主任研究員とする厚労省研究班の分担研究として行われた。日本臨床衛生検査技師会の次期会長候補の横地常広氏が分担研究者となり、検査技師の病棟常駐の効果などを調べた。

 研究班は、先行研究で作成した標準化クリニカルパス(ePath)を活用し、医療の質にあまり影響しない業務を削減した上でタスクシフトやICT化を進め、医師の業務時間を減らす方策を検討。その一環として、医師や看護師から検査技師へのタスクシフトを取り上げた。

 循環器内科(38床)と心臓血管外科(38床)の2つの病棟があるフロアに検査技師1人が2022年11月から10カ月間常駐した。病棟内に重症観察室(8床)があり、TAVIやM-TEERの直後から入院するため、一般病棟ながら重症度が非常に高いという。

 常駐したのは、技師11年目の男性と20年目の女性の2人。心血管エコーのベテランで、コミュニケーション力も高い人材を選んだ。病棟で心血管エコーがされれば、その分、外来検査枠を増やせる経営効果が病院上層部に理解され、開始に当たっては検査技師1人を増員した。

 その結果、1日平均で約310分の検査関連業務があることを確認。うち約207分は、心エコーや血管エコー、心電図などの生理検査業務で、リポート作成を含めると1日平均で延べ16.7回の業務があった。

 担当した福重翔太氏(超音波検査士)は同日のシンポで、病棟検査技師がベッドサイドで検査を行うことで検査報告時間が短縮し患者搬送リスクも低減したことを指摘。「看護師の医療サービスの向上、医師の業務負担軽減につながった」と述べた。
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