日本臨床検査同学院は、一般検査の2級臨床検査士試験(一般検査2級)の新設に向けた検討に入る。既存の2級臨床検査士試験等を参考にしながら、試験設計の議論を進め、早ければ2026年夏ごろの第1回試験の実施を目指す。緊急臨床検査士の1科目としての一般検査と、日本臨床衛生検査技師会の認定一般検査技師との中間的な位置付けを念頭に置いた検討が進められる見通しだ。
同学院が実施する2級臨床検査士は微生物学、病理学、臨床化学、血液学、免疫血清学、循環生理学、神経生理学、呼吸生理学の8科目があり、それぞれ独立した試験が運用されている。筆記試験だけでなく、実技試験を取り入れているのが大きな特徴。
一般検査は、国家資格取得後から2~3年目で受験するケースの多い緊急臨床検査士試験に含まれてはいるが、2級臨床検査士の独立した科目としてはなかった。ただ、ISO 15189等で一般検査を含めた臨床検査全体の質向上が求められていることに加え、日臨技の認定一般検査技師の難易度が高いとの声もあり、同学院として2級臨床検査士の9番目の試験科目として一般検査を新設する。今後の検討状況次第で流動的な部分もあるが、2026年夏の第1回試験の実施を目指して検討する。
同学院は、既存8科目の試験を参考にしながら、一般検査2級に関する出題基準(大項目・中項目・小項目)やカリキュラムの検討に入り、出題基準に沿った教本作成等が検討される見込みだ。具体的な試験設計の議論はこれからだが、詳細な運用規定等は同学院内関係委員会や部会などで協議する。緊急臨床検査士試験に含まれる一般検査よりも幅広い知識や技術を求める方向で、日臨技の認定一般検査技師との中間の位置付けになる予定。
●公平な実技試験へ委員間の「標準化も課題に」
同学院では、今後検討する一般検査2級も含め、既存の2級臨床検査士試験の運用改善に向けた取り組みも進める。2級臨床検査士のうち受験希望者が多い科目は、試験会場や試験委員が確保できずに受験者を抽選せざるを得ないケースもあるのが現状だ。同学院の三村邦裕事務局長は、「実技に必要な実習室を備えた試験会場や、実技を評価する試験委員の確保は大きな課題。実技の受験者約4人に対し1人の試験委員は必要になる。公平な試験のためには、試験委員による実技評価のさらなる標準化も重要になる」と話しており、今後改善策を探っていく考えだ。